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神曲神之介の江戸日記
「 紳士靴マスターへの道【9】 ~英国靴デビュー(後篇)~ 」
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(4)運命の出会い~チーニー
チャーチの輸入元である渡辺産業のHPを何気なく眺めていると、チーニーも扱っていることに気付く。しかもよく見ると、全国の取扱店舗一覧があるではないか。
なぜもっと早く気づかなかったのだろう。M(あえて名を秘す)百貨店??デパートはすべて見たつもりでいたが、そういえばここだけは行ってなかった。

翌日仕事が終わった後に寄ってみる。おー。けっこう品揃えが良いではないか。輸入靴のコーナーへ行ってみると、げ!サージェントがあるではないか!
あれだけ探して1件も見つからなかったのに、よりによって唯一見落としていたデパートにあったとは・・・。

サージェントと並んで、チーニー、グレンソン、そしてチャーチ様も御鎮座。サージェントはあまり品揃えがなく、ブローグはなかった。やっとお目にかかれたのはいいが、いざ実物を見ると細い!これはどう見てもわしには履けそうもない。

隣のチーニーはけっこう品揃えがあった。値段はサージェントと同じだが、アッパーの革質はチーニーの方が良さそうだ。幅もけっこうあるので、フルブローグのやつを試着してみる。
UKサイズの靴を履くのは初めてだが、26cmはUKサイズの7に相当するということはあらかじめ調べてあったので、まずは7を出してもらう。
履けることは履けるが、きつい。甲の部分の圧迫がひどく、完全に血が止まっている。7.5を出してもらう。

甲に若干の圧迫感はあるが、どこが痛いわけでもない。全体的に足にピッタリ張り付いているような感じ。今までに経験したことのない感覚だ。
歩いてみると、異様に履きが浅く感じる。靴の中で何か異物を踏んでいるような感覚で、歩く度にかかとがスカスカ抜ける。
「かかとが浮くんですけど・・・」と店員のおねえさんにうったえると、
「グッドイヤーの靴は最初はそうなります。履き慣れるとインソールが沈み込んでいくし、ソールの返りが良くなると、かかとに吸い付くので、すぐ浮かなくなります。」

そうか。これが本来のグッドイヤーの感覚なのだな。かかとが異物を踏んでいるように感じるのは、しっかりとコルクが仕込まれているためなのだ。
これって、はき慣れる頃にちょうど足にピッタリになるという理想のフィッティングなのではないだろうか。よし!買おう!!

(5)理想の靴
家に持ち帰って再度履いてみる。右足を履いた瞬間・・・ん?なんかきつい。いや、間違いなくきつい。店で履いた感覚と明らかに違う。左足も履いてみる。こっちは、店で履いたのと同じ感覚だ。
「は!もしや!」
サイズが書いてある内装の内側をよく見てみると、な、な、なんじゃこりゃあーー!!(松田優作様再度降臨)
左と右で違うサイズの靴が入ってるではないか!!7.5と7を履き比べたあと、店員が箱にしまう時に混ぜてしまったんだな。なんてこった。

輸入靴の場合、サイズは内装の内側にしか書いていない。しかも、手書きみたいな字で書いてあり、数字などは1なのか7なのかわからんような字で書いてあるので、確かにわかりにくい。
7.5の場合、「7 1/2」と書いてあり「1/2」の部分などはちょっと見ただけではいったい何と書いてあるのかわからない。
しかし、店員はプロなのだから、そんなことは言い訳にはならん。くそー。せっかく良い買い物をしたと思って気分が良かったのに・・・。

翌日勤めが終わった返りに早速返しに行く。名古屋は電車賃が高いので、往復するだけで400円かかる。あー、400円無駄にした。
・・・などと思いつつ不機嫌な顔をしていると、店長らしき者が
「誠に申し訳ございません。これはほんのお詫びですが、どうぞお使いください。」
と缶箱を差し出した。サフィールのメンテナンスセットだ。サフィールのシュークリームだけでも700円以上するので、これで十分交通費は浮いた。(そういう問題か?)

店員のおねえさんは、えらく落ち込んでいた。別に恫喝したわけでもないのだが、何か可愛そうになったので、
「輸入靴ってサイズが内装にしか書いてないし、手書きみたいな字で書いてあるからわかりにくいですよね。」
と言ってあげたが、
「はあ。・・・・・・・・・・・・・・・・。」
とうつむいたまま。落ち込み続けていた。きっと真面目な人なのだろう。まあ、そういう失敗を乗り越えて一人前になっていくものなのだ。少なくとももう二度と同じ失敗をすることはなかろう。

思わぬ水が入ってしまったが、翌日晴れて英国靴デビュー。スコッチの場合は、ヒールはゴムなのだが、今度はヒールも全部革である。滑りに気をつけなくてはならないが、すでに3足も革底を所有しているわしは、もはや革底初心者ではない。

うーん。これは素晴らしい。地下足袋のように靴が足にへばり付いている。ゆるいところは全くない。強いて言えば多少圧迫感はあるが、どこも痛いということはない。
コルクがしっかり入っているせいか、着地の時に地面からの衝撃がほとんどない。底革の耐久性も高く、スコッチに比べて1日目の摩耗が少ない。やはり靴に関しては、欧米の方が一日の長がある。

夕方くらいになると足がむくんできて、羽根のあたりがきつくなるが、少し紐をゆるめれば解消される。これがまさに「Just Fit」の感覚なのだな。

これこそが理想の靴だ。しかし、ここに至るまではずいぶん投資をした。やはり足に合う靴に出会うのは難しく、そのためには多少の授業料は必要ということだ。
いずれにしろ、この靴は一生手放すことはないだろう。

(つづく)chtwnd.jpg

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