(1)想いはノーザンプトンへ
スコッチグレインとの出会いにより、革底グッドイヤーの良さにすっかりハマってしまったわしであったが、こうなるとどうしても元祖グッドーイヤーウエルトの英国靴を経験してみたい。
チャーチは無理としても、せめて5万円くらいで買える英国靴はないだろうか。
もう完全に靴パラノイアと化したわしは、靴専門誌を買いあさるまで病状が悪化してしまっていた。本屋で男性誌のコーナーを眺めていると「最高級靴読本」なるものを発見。
メーカー別に輸入靴カタログがズラリと掲載されている。英国靴といっても色々あるんだな。
エドワードグリーン、ジョンロブといった「10万円からご案内~」といったメーカーはとても手が出ないが、5万円程度のラインアップを中心としたメーカーもけっこうある。
中でも評価が高いのが、アルフレッドサージェントとチーニー。本国との価格差が小さく、作りは非常にしっかりしているということだ。
ネットを調べていくうちに、例の名古屋ドーム前の靴屋(TSURUYAという量販靴店の支店)の本店にサージェントがあるという情報を入手。
英国靴入門にはちょうどよいかもしれない。なんか名前がかっこいいし。見に行ってみるか。
(2)サージェントを求めて
TSURUYA本店のある今池まで電車でゴー。サージェントはあるだろうか・・・。ワクワクしながら、紳士靴コーナーへ。
・・・なかった。
ロングノーズブームを反映してか、イタリア靴が多い。特に、サントーニは無造作にやたらたくさん置いてある。
英国靴はクロケットジョーンズしかない。これはちょっと高いし、あんまり魅力を感じない。
店員に聞いてみると、数年前まではサージェントもけっこう置いていたとのこと。ネットの情報は古かったんだな。
せっかく中心地まで出てきたので、栄周辺のデパート靴売場をシラミ潰しに物色。しかし、結局サージェントはどこにもなかった。
ああ・・・なぜ東京に住んでいる時に靴に目覚めなかったのだろう。新宿伊勢丹に行きたい!!
失意の中帰宅。半分あきらめつつも懲りずにネットで情報収集。千種のFitHouseなる店に輸入靴がたくさんあるという情報をゲット。次の週末、早速千種へ。
ここはいわゆる「セレクトショップ」と呼ばれる類の店で、輸入物の服や鞄や時計などを専門に扱っている店である。
なるほど。靴は靴屋かデパートとしか考えていなかったが、こういう選択肢があったんだな。
確かに情報どおり、種類は少ないがエドワードグリーン、ジョンロブといった錚々たるメーカーがズラリ。しかしやはりサージェントは見つからず。
一応店員に聞いてみると、「ビームス」にもしかしたらあるかもしれないとの情報。
「びーむす?どこにあるんですかその店は。」
「栄にあるセレクトショップです。でも見かけたのはずいぶん前なので今もあるかどうか・・・。」
愛想の良い親切なお兄ちゃんだ。栄のどのへんにあるのかさらに詳しく聞きたくなったが、他店のことをこれ以上質問するのも申し訳ないので、家に帰ってネットで調べることにした。
栄は帰り道の途中なので、DVDでも物色しようかと、7階にヤマギワソフトがあるナディアパークへふらりと入る。
エスカレーターはどこかなと1階をキョロキョロしながら歩いていると、「BEAMS」の看板。ここか!なんたる偶然!
入ってみると、オールデンとヘンリーマックスウエルがあったが、やはりサージェントの姿はなかった。しかし、こういう店にけっこう輸入靴があることがわかっただけでも収穫。
今度はセレクトショップに絞って探してみるか・・・。
(3)チャーチ様と初対面
なぜか1年に1回はケンタッキーフライドチキンがむしょうに食いたくなるときがある。名古屋はなぜかケンタッキーの店があまりない。別に名古屋コーチンと競合するからという理由ではないと思うが、なぜか少ない。
丸善の隣にあることがわかったので買いに行く。鶏を買う前に本でも眺めてみようと思い、ふらりと丸善ビルに入る。フロアー案内を見ると3階が紳士服・靴となっている。
なんだ?丸善に靴なんか売ってたのか。どんな靴があるのか見に行ってみると、な、なんとチャーチがあるではないか!あこがれのチャーチ。実物を拝むのは初めてだった。
ディプロマットがあった。8万円。定価は9万円のはずだが、なぜか1万円ほど安い。とは言っても、やはり8万には手が出ない。
すごく欲しいが、こんな高価な靴を買ってしまったら恐くて履けない。東京の東西線や総武線なんか絶対乗れない。電車の中では踏まれ放題だし、降りた後に洪水のように流れる人波の中で、後からゴツイ靴でかかとをガリっとやられてしまったら目も当てられない。
でもいつかは履きたい。後ろ髪引かれる思いで丸善をあとにし、鶏を買って帰る。