忍者ブログ
神曲神之介の江戸日記
「 靴 」
カレンダー
06 2024/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
リンク
最新コメント
[12/02 他国の間者]
[12/01 孔明]
[12/01 他国の間者]
[11/09 パリピ孔明]
[11/09 他国の間者]
プロフィール
HN:
神曲神之介
性別:
男性
職業:
武士(50石)
趣味:
美容体操
ブログ内検索
カウンター
OTHERS
Powered by 忍者ブログ
Templated by TABLE ENOCH


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



(4)運命の出会い~チーニー
チャーチの輸入元である渡辺産業のHPを何気なく眺めていると、チーニーも扱っていることに気付く。しかもよく見ると、全国の取扱店舗一覧があるではないか。
なぜもっと早く気づかなかったのだろう。M(あえて名を秘す)百貨店??デパートはすべて見たつもりでいたが、そういえばここだけは行ってなかった。

翌日仕事が終わった後に寄ってみる。おー。けっこう品揃えが良いではないか。輸入靴のコーナーへ行ってみると、げ!サージェントがあるではないか!
あれだけ探して1件も見つからなかったのに、よりによって唯一見落としていたデパートにあったとは・・・。

サージェントと並んで、チーニー、グレンソン、そしてチャーチ様も御鎮座。サージェントはあまり品揃えがなく、ブローグはなかった。やっとお目にかかれたのはいいが、いざ実物を見ると細い!これはどう見てもわしには履けそうもない。

隣のチーニーはけっこう品揃えがあった。値段はサージェントと同じだが、アッパーの革質はチーニーの方が良さそうだ。幅もけっこうあるので、フルブローグのやつを試着してみる。
UKサイズの靴を履くのは初めてだが、26cmはUKサイズの7に相当するということはあらかじめ調べてあったので、まずは7を出してもらう。
履けることは履けるが、きつい。甲の部分の圧迫がひどく、完全に血が止まっている。7.5を出してもらう。

甲に若干の圧迫感はあるが、どこが痛いわけでもない。全体的に足にピッタリ張り付いているような感じ。今までに経験したことのない感覚だ。
歩いてみると、異様に履きが浅く感じる。靴の中で何か異物を踏んでいるような感覚で、歩く度にかかとがスカスカ抜ける。
「かかとが浮くんですけど・・・」と店員のおねえさんにうったえると、
「グッドイヤーの靴は最初はそうなります。履き慣れるとインソールが沈み込んでいくし、ソールの返りが良くなると、かかとに吸い付くので、すぐ浮かなくなります。」

そうか。これが本来のグッドイヤーの感覚なのだな。かかとが異物を踏んでいるように感じるのは、しっかりとコルクが仕込まれているためなのだ。
これって、はき慣れる頃にちょうど足にピッタリになるという理想のフィッティングなのではないだろうか。よし!買おう!!

(5)理想の靴
家に持ち帰って再度履いてみる。右足を履いた瞬間・・・ん?なんかきつい。いや、間違いなくきつい。店で履いた感覚と明らかに違う。左足も履いてみる。こっちは、店で履いたのと同じ感覚だ。
「は!もしや!」
サイズが書いてある内装の内側をよく見てみると、な、な、なんじゃこりゃあーー!!(松田優作様再度降臨)
左と右で違うサイズの靴が入ってるではないか!!7.5と7を履き比べたあと、店員が箱にしまう時に混ぜてしまったんだな。なんてこった。

輸入靴の場合、サイズは内装の内側にしか書いていない。しかも、手書きみたいな字で書いてあり、数字などは1なのか7なのかわからんような字で書いてあるので、確かにわかりにくい。
7.5の場合、「7 1/2」と書いてあり「1/2」の部分などはちょっと見ただけではいったい何と書いてあるのかわからない。
しかし、店員はプロなのだから、そんなことは言い訳にはならん。くそー。せっかく良い買い物をしたと思って気分が良かったのに・・・。

翌日勤めが終わった返りに早速返しに行く。名古屋は電車賃が高いので、往復するだけで400円かかる。あー、400円無駄にした。
・・・などと思いつつ不機嫌な顔をしていると、店長らしき者が
「誠に申し訳ございません。これはほんのお詫びですが、どうぞお使いください。」
と缶箱を差し出した。サフィールのメンテナンスセットだ。サフィールのシュークリームだけでも700円以上するので、これで十分交通費は浮いた。(そういう問題か?)

店員のおねえさんは、えらく落ち込んでいた。別に恫喝したわけでもないのだが、何か可愛そうになったので、
「輸入靴ってサイズが内装にしか書いてないし、手書きみたいな字で書いてあるからわかりにくいですよね。」
と言ってあげたが、
「はあ。・・・・・・・・・・・・・・・・。」
とうつむいたまま。落ち込み続けていた。きっと真面目な人なのだろう。まあ、そういう失敗を乗り越えて一人前になっていくものなのだ。少なくとももう二度と同じ失敗をすることはなかろう。

思わぬ水が入ってしまったが、翌日晴れて英国靴デビュー。スコッチの場合は、ヒールはゴムなのだが、今度はヒールも全部革である。滑りに気をつけなくてはならないが、すでに3足も革底を所有しているわしは、もはや革底初心者ではない。

うーん。これは素晴らしい。地下足袋のように靴が足にへばり付いている。ゆるいところは全くない。強いて言えば多少圧迫感はあるが、どこも痛いということはない。
コルクがしっかり入っているせいか、着地の時に地面からの衝撃がほとんどない。底革の耐久性も高く、スコッチに比べて1日目の摩耗が少ない。やはり靴に関しては、欧米の方が一日の長がある。

夕方くらいになると足がむくんできて、羽根のあたりがきつくなるが、少し紐をゆるめれば解消される。これがまさに「Just Fit」の感覚なのだな。

これこそが理想の靴だ。しかし、ここに至るまではずいぶん投資をした。やはり足に合う靴に出会うのは難しく、そのためには多少の授業料は必要ということだ。
いずれにしろ、この靴は一生手放すことはないだろう。

(つづく)chtwnd.jpg

PR


(1)想いはノーザンプトンへ
スコッチグレインとの出会いにより、革底グッドイヤーの良さにすっかりハマってしまったわしであったが、こうなるとどうしても元祖グッドーイヤーウエルトの英国靴を経験してみたい。
チャーチは無理としても、せめて5万円くらいで買える英国靴はないだろうか。

もう完全に靴パラノイアと化したわしは、靴専門誌を買いあさるまで病状が悪化してしまっていた。本屋で男性誌のコーナーを眺めていると「最高級靴読本」なるものを発見。
メーカー別に輸入靴カタログがズラリと掲載されている。英国靴といっても色々あるんだな。

エドワードグリーン、ジョンロブといった「10万円からご案内~」といったメーカーはとても手が出ないが、5万円程度のラインアップを中心としたメーカーもけっこうある。
中でも評価が高いのが、アルフレッドサージェントチーニー。本国との価格差が小さく、作りは非常にしっかりしているということだ。

ネットを調べていくうちに、例の名古屋ドーム前の靴屋(TSURUYAという量販靴店の支店)の本店にサージェントがあるという情報を入手。
英国靴入門にはちょうどよいかもしれない。なんか名前がかっこいいし。見に行ってみるか。

(2)サージェントを求めて
TSURUYA本店のある今池まで電車でゴー。サージェントはあるだろうか・・・。ワクワクしながら、紳士靴コーナーへ。
・・・なかった。
ロングノーズブームを反映してか、イタリア靴が多い。特に、サントーニは無造作にやたらたくさん置いてある。
英国靴はクロケットジョーンズしかない。これはちょっと高いし、あんまり魅力を感じない。
店員に聞いてみると、数年前まではサージェントもけっこう置いていたとのこと。ネットの情報は古かったんだな。

せっかく中心地まで出てきたので、栄周辺のデパート靴売場をシラミ潰しに物色。しかし、結局サージェントはどこにもなかった。
ああ・・・なぜ東京に住んでいる時に靴に目覚めなかったのだろう。新宿伊勢丹に行きたい!!

失意の中帰宅。半分あきらめつつも懲りずにネットで情報収集。千種のFitHouseなる店に輸入靴がたくさんあるという情報をゲット。次の週末、早速千種へ。
ここはいわゆる「セレクトショップ」と呼ばれる類の店で、輸入物の服や鞄や時計などを専門に扱っている店である。
なるほど。靴は靴屋かデパートとしか考えていなかったが、こういう選択肢があったんだな。

確かに情報どおり、種類は少ないがエドワードグリーン、ジョンロブといった錚々たるメーカーがズラリ。しかしやはりサージェントは見つからず。
一応店員に聞いてみると、「ビームス」にもしかしたらあるかもしれないとの情報。
「びーむす?どこにあるんですかその店は。」
「栄にあるセレクトショップです。でも見かけたのはずいぶん前なので今もあるかどうか・・・。」
愛想の良い親切なお兄ちゃんだ。栄のどのへんにあるのかさらに詳しく聞きたくなったが、他店のことをこれ以上質問するのも申し訳ないので、家に帰ってネットで調べることにした。

栄は帰り道の途中なので、DVDでも物色しようかと、7階にヤマギワソフトがあるナディアパークへふらりと入る。
エスカレーターはどこかなと1階をキョロキョロしながら歩いていると、「BEAMS」の看板。ここか!なんたる偶然!
入ってみると、オールデンとヘンリーマックスウエルがあったが、やはりサージェントの姿はなかった。しかし、こういう店にけっこう輸入靴があることがわかっただけでも収穫。
今度はセレクトショップに絞って探してみるか・・・。

(3)チャーチ様と初対面
なぜか1年に1回はケンタッキーフライドチキンがむしょうに食いたくなるときがある。名古屋はなぜかケンタッキーの店があまりない。別に名古屋コーチンと競合するからという理由ではないと思うが、なぜか少ない。
丸善の隣にあることがわかったので買いに行く。鶏を買う前に本でも眺めてみようと思い、ふらりと丸善ビルに入る。フロアー案内を見ると3階が紳士服・靴となっている。
なんだ?丸善に靴なんか売ってたのか。どんな靴があるのか見に行ってみると、な、なんとチャーチがあるではないか!あこがれのチャーチ。実物を拝むのは初めてだった。
ディプロマットがあった。8万円。定価は9万円のはずだが、なぜか1万円ほど安い。とは言っても、やはり8万には手が出ない。
すごく欲しいが、こんな高価な靴を買ってしまったら恐くて履けない。東京の東西線や総武線なんか絶対乗れない。電車の中では踏まれ放題だし、降りた後に洪水のように流れる人波の中で、後からゴツイ靴でかかとをガリっとやられてしまったら目も当てられない。
でもいつかは履きたい。後ろ髪引かれる思いで丸善をあとにし、鶏を買って帰る。

(つづく)chtwnd.jpg



(5)至高のカーフ スコッチグレイン・インペリアル
晴れて革底デビューを果たしたわしは、もう通勤でゴム底を履く気がなくなってしまった。しかし、雨には滅法弱いので、すでに持っているゴム底靴は雨の日中心に履くことして、晴れの日は基本的に革底を履きたい。そんなわけで、ローテーション上、さらに何足か革底靴がほしくなった。

ところで、今回のスコッチはアッパー革がカーフの靴としても初体験であったのだが、とにかく柔らかい。履き心地は良いし、見た目もキメが細かくて美しい上に、シワもできにくい。やはり、高い靴というのはそれだけの価値があるものなのだ。
しかもスコッチグレインの場合、この値段でこれだけの水準の靴を提供するというのすごいことである。
最下級グレードでこの水準の靴を作るメーカーの最上級靴であるインペリアルとはいったいどんな靴なのだろうか。そんなことを思いながらすっかりスコッチファンになってしまったわしは、毎日直販のページを物色するようになった。

その日もいつものように通販ページを眺めていたところ、インペリアルが11月より値上げするというお知らせがあった。どうやら色々な諸事情から、世界的に革の値段が上がっているらしい。インペリアルの場合はヨーロッパ製のカーフを使っているので、仕入れ上やむを得ないのだろう。
この時すでに10月下旬。この時点でのインペリアルの定価は4万4千円だ。来月から値上げするとなるとなんかむしょうに買いたくなった。しかし、名古屋でインペリアルを置いる店はないので試着はできない。東京か大阪へ行くとなると交通費だけで万単位だ。試着ができない通販で靴を買うのは非常にリスキーではあるが、インペリアルはすでに所有しているアシュランスと同じEEEであり、写真を見る限りほとんど同じ木型だと思われるので、思い切って買うことにした。

ここの受注処理はえらい迅速で、注文した翌日に家に届いた。心配していたサイズは問題なかった。おまけとして小さい靴ブラシ2つ、携帯靴ベラの他に革製定期入れが入っていた。定期入れはいわゆるノベルティグッズであり、そのときによって何がもらえるかわからない。
アシュランスの場合、付属のシューキーパーはプラスチック製なのだが、インペリアルは木製のキーパーが付く。写真で見た限りは白っぽくてニス塗りしているようにしか見えないのであまり期待してなかったのだが、現物を見てみるとレッドシダーの裸木を使っており、キーパーとしてはかなりの上物だ。

で、お待ちかねのインペリアルであるが、アッパーの革は「素晴らしい!」の一言である。革のグレードとしては恐らく輸入モノの10万円クラスに匹敵する。同じカーフでもアンシュランスのものとは質感が全く違う。とにかくキメが細かく、しかもどこの部分も質が揃っている。アンシュランスの場合は、羽根の部分が強くプレスされているせいか、ここだけボール紙みたいな質感なのだが、インペリアルは羽根の部分もしっとりしており、全体的にかつて生物の肌であった面影を残している。

ちなみにわしが購入したインペリアルはセミブローグでサイドの部分に縫い目がないタイプのものである。型番は930BL。恐らくは、チャーチの創業125周年記念モデル「トーマス」を意識したデザインと推測される。

(6)スコッチグレイン3足目
ここの靴はわしの足に合っているのか、とにかく履いていて気持ちいい。あと1足あれば1週間回せるので、もう1足ほしいところである。ちょうどフルブローグがほしいと思っていたので、アシュランスの3525BLを買うことにした。すでに同型のセミブローグを持っており、試着は必要ないしおまけも付くので、今回も通販で注文。インペリアル付属の木製キーパーが単品でも買うことができるので、一緒に2本買うことにする。

例によって、注文した翌日に到着。前回同様靴ブラシと靴ベラが入っていた。お楽しみのノベルティは、欲しかった名刺入れだった。納品書に「今回は名刺入れにしてみました」と書いてある。ちゃんと顧客管理しており、同じ物を送らないようにしているのだな。

立て続けにスコッチグレインを3足購入し、これで革底だけでも十分なラインアップが揃った。
しかし、ひとたび靴道へハマってしまったわしはそれで満足するはずもなく、さらなる修羅の道へと踏み込んで行くのであった。

(つづく)chtwnd.jpg



(1)革底靴を履く意味
輸入靴をはじめとする高級靴は大半が革底仕様になっている。最初は、革底なんて存在する意味すらわからなかった。摩耗しやすいのは当たり前だし、いかにも滑りやすそうだ。雨なんか降ってきたら大変なことになる。なんでわざわざこんな靴を買おうとするのだろうか。

日本で靴が履かれるようになったのは明治時代以降だが、西洋では昔から靴を履いていた。昔はゴムなんかなかったので、革底しかなかった。それに日本人よりもはるかに牛を食べるので革自体が豊富にある。また、家の中でも靴を履いているので、木の床とかカーペットの上を歩くことを考えると確かにゴムよりも革がふさわしい。
しかし、雨が多く、家の中では靴を履かない日本人にとって革底なんてどれほどの意味があるのか。
ゴム底に対する革底の最大のメリットとは何か。それは「蒸れない」ことである。

確かにゴム底の靴をずっと履いて仕事をしていると、午後になったあたりでむしょうに脱ぎたくなる。ネットの話を色々読んでみると、革底靴はスニーカーよりもずっと蒸れないらしい。そんなにいいものなのだろうか。
ならば1足くらい革底の靴を持っていてもよかろう。一度試してみようということになった。

(2)スコッチグレイン
革底未経験者であるわしにとって、最大の不安は「滑って転けるのではないか」ということだった。そこで、何か滑り止め加工しているようなやつはないか探してみると、おあつらえ向きのやつが見つかった。
スコッチグレインというメーカーの靴は基本的に革底なのだが、すべて部分的にゴム加工している。特に「アシュランス」という一番安いグレードのやつがど真ん中にベッタリゴムが埋め込んである。これは良さそうだ。値段も3万円を切っているので、革底入門者にとってはちょうどよかろう。

スコッチグレインというメーカーは名前からしていかにもイギリスのメーカーのような印象を受けるが、純粋な国内メーカーである。製法はすべてグッドイヤーであり、デザインは伝統的な英国靴をイメージさせるボテっとしたものが多く、いかにもおっさん受けしそうな靴だ。しかも、最下級グレードでもカーフを使っており、革質は抜群。価格は非常にリーズナブルであり、すべての靴に標準で純正のシューキーパーが付く。

このころわしはすでに、最近巷にあふれるイタリア系のロングノーズの靴にヘキヘキしていた。ロングノーズの靴っていうのは、やせ形で高身長の人が履くとすごくかっこいいのだが、背が低くしかもずんぐりした体型の人が履くと魔法使いみたいになってしまうので、日本人の場合は服のコーディネートをよっぽど上手くやらないと似合わない。対して、長い歴史の中で確立されたトラディッショナルスタイルは流行に左右されないので長く履ける上に、ビジネスやフォーマルなシーンでも安心して履ける。
わしの場合、ブレア首相のエピソードを知って以来、英国派に傾倒しつつあり、特にブレア首相やジェームスボンドが愛用していたチャーチにあこがれを持っていた。
そういう意味では、スコッチグレインはチャーチの質実剛健さを踏襲しており、和製チャーチと呼ぶにふさわしい。まさに紳士の品格を求めるおっさん御用達メーカーなのである。

というわけで、スコッチを買ってみることにしたはいいが、このメーカーは国産でありながら、売っている店はけっこう少ない。しかも、上位クラスのものは直営店にしか置いてない。
直営店は東京と大阪にしかない。名古屋市内となると売っている店は本当に限られてくる。例のドーム前の靴屋は名古屋では一番でかい靴屋なのだが、そこにも置いてない。
色々調べた結果、JR高島屋にあることが判明したので、早速行ってみる。

(3)革底靴の履き味
高島屋の靴売場はけっこう品揃いが豊富で、輸入靴もたくさん置いてあったので、まずはこちらから眺めてみる。やはり高い。5万円からご案内~という感じである。サルバトーレフェラガモの靴があった。10万円。フェラガモといえばセレブ女性御用達の靴として有名だが、紳士靴も作っているのだ。いかにもイタリアという感じの洗練されたデザインで幅が細い。幅広足のわしにはとても履けそうもないし、このころすでにイタリア靴には興味を失っていたので、素通り。

本命のスコッチを求めて国産靴コーナーへ。アシュランスはあるが、やはりオデッサインペリアルといったクラスは置いてなかった。できればフルブローグがほしかったのだが、セミブローグ(型番3520BL)しか置いてなかったので、これを試着してみる。
まずは一番買うことが多い26.5を履いてみる。ゆるい。26を履いてみるとぴったり。全体的に足に触れているという程度で、どこも全く圧迫感がない。少しゆる目かなとも思ったが、店員は「これ以上落とすと明らかにきついし、厚い靴下が履けなくなる」というので、26で購入を決定。

翌日早速デビュー。うーん気持ちいい。確かに蒸れない。蒸れないという意味ではGEOXも同じなのだが、それとは別の、ゴムのような化学合成物じゃないことによる何とも言えない心地よさがある。歩くときの音も耳ざわりが良い。特にこの靴は幅がEEEということもあって履いてて楽だ。途中で脱ぎたいという気持ちにならない。むしろずっと履いていたいと思うくらい気持ちいい。すっかり革底の虜となってしまった。
心配していた滑りについては意外と思っていたほどではない。というより、滑らないような歩き方をすることで自然とスマートできれいな歩き方になる。やはり革底は紳士の靴なのだ。

(4)つま先の摩耗対策
快適な気分でその日の勤務を終え、帰宅後、靴底を見てみると、げげ!!なんじゃこりゃあ!
つま先が異常に摩耗しており、すでに角度がつくくらい削れている。革底が摩耗しやすいことなど最初からわかっていたのだが、たった1日(しかもデスクワークでほとんど歩いていない)でこれほどまで減るものなのか。

またまたネットで情報収集。どうやらグッドイヤーの靴は履き始めは返りが悪いので、特に初日はつま先が減りやすいらしい。そういえば、滑り止め付きの靴を探している中で、つま先だけゴム加工しているタイプのものが圧倒的に多かったのだが、あれは滑り止めのためではなくて摩耗対策のために付いているのだなあ。

つま先の摩耗対策として、靴を買ったらすぐにかかととつま先の部分を両手で持って、グニャっと半分に折り曲げるとよいという記事があった。本当にそんなことして大丈夫なのかと思ったが、靴作りの専門家が書いている記事であり、そもそも靴はそういうふうに曲がるように作られているというのは理にかなっているので、早速試してみる。
曲げた瞬間はアッパーに無惨なシワができるが、すぐにシューキーパーを履かせて一日置いておけば、シワはほとんど跡形もなく消える。特にカーフなどの柔らかい革はしなやかさがあるので、シワの回復力が高い。
なるほど確かに2日目からは、初日ほどつま先は減らなくなった。次からはつま先にゴムが付いているやつを買うことにしよう。

(つづく)chtwnd.jpg



さて。話はリーガルデビューの話題に戻る。

予定どおり一目惚れの221RBCが納品される。ああ愛しいしとよ。ついに我が手に愛しいしと。
ウキウキ気分で持ち帰り、しばらくの間、部屋に置いて眺める。美しい。ビンテージっぽくムラ染めした茶色が絶妙だ。

翌日、早速デビュー。うーん硬い。W465と同じキップなのに、ガラス加工するとこうも硬くなるものなのか。

ちなみに「ガラス」とは、革をガラスでプレスして表面をツルツルにし、さらに塗装する際に樹脂を混ぜて、エナメルっぽく仕上げた革である。
女子高生などがよく履いているテカテカしたローファーなどは典型的なガラスである。
ガラスのメリットは、皮に元々付いていた傷を隠せること、雨や汚れに強いこと、新しいうちはワックスをかけなくてもツヤツヤしていること、メンテナンスが楽なことなどがある。
デメリットは、革の本来の質感がないことなどがあるが、最大のネックは硬いことだ。しかも保革材が染み込みにくいので、ミンクオイルなどで柔らかくしにくい。
リーガルが硬い靴が多いのは、ガラス加工の靴が多いためである。

まあ、ガラスと言ってもキップなので、足が曲がらないほど硬いというわけではない。そのうち馴染んできたら柔らかくなるだろう。
・・・と、多少硬いことなどは気にせず、愛しきしとともに務めに励む。
ところが、夕方になると妙に親指の付け根が痛い。見ると、親指の部分に偏って、太めのシワが幾重にも重なってできていて、足を曲げる度にそれが親指の根本に刺さり込んでいるのだ。な、なんじゃこりゃあ!

帰って、ネットで同じような事例がないかどうか検索してみた。どうやら、これは硬くてゆるい靴を履いた時に起こる特有の現象らしい。
幅広の靴の場合はそうでもないのだが、幅がタイトな場合、ゆるいことでダブついたシワが分散されず、足を曲げた時に親指のところに偏って集まり、それが足を圧迫するのだ。

ゆるいのに痛い。こんなケースがあるとは、全く持って不覚であった。
では、今まで散々ユル靴を履いてきたのに、なぜこのような自体が起こらなかったのか。

まず、合成革のフニャフニャ靴が多かったので、シワができてもシワ自体が柔らかく、足をそれほど圧迫しなかったこと、硬くても幅がタイトな靴を選択することはなかったことが考えられる。

今回はシワという思わぬ伏兵にやられてしまったわけだが、靴のシワは色々な意味でクセ者なので、注意が必要だ。
靴を履いた後、何もせずにほったらかしにしておくと、履きジワがそのままの状態で固定化されてしまい。甲に餃子のようなモコモコしたシワが形成されてしまう。
足に悪さをしないとしても、これはかっこわるい。
また、シワの間には汚れや古いワックスなどが溜まりやすく、ひび割れの原因になったりもする。

このように革靴にとって、履きジワというやつは非常にやっかいなものなのだが、これを簡単に解消する方法がある。
それはシューキーパー(またはシュートリーともいう)というものを買って、履いた後の靴の中につっこんでおく。
こうするだけで、シワは元どおりになり、しかも靴全体の型くずれを防ぐ効果もある。
さらに木製のもの(高いけど)を使えば除湿効果もある。

シューキーパーは100円ショップで売ってる数百円のものから1万円以上するものまでピンキリであるが、できれば木製で先が割れていて靴の形に応じて調整できるタイプ(こういうやつ)のものが良い。安いものでは2千円くらいで手に入る。バカみたいに高いものを買う必要はないが、多少はいいものを買った方がその分靴の寿命が長くなるので、かえって経済的だ。

さて。ケンフォードを皮切りにリーガル2足と、合計3足揃い、最低限のローテーションを組むラインアップができた。
しかし3足とも内羽根だ。さらに1足くらい外羽根がほしいところである。リーガルの定番といえばやはり外羽根ウイングチップのアメリカントラッド。
リーガルショップは割引がないので、名古屋ドーム前の例の店に行ってみることにした。定番ならば普通の靴屋でもあるだろう。

あったあった。外羽根で先が丸く、いかにもゴツい感じの典型的なリーガル靴だ。型番はJU14。ガラスだが、定価で2万円を切っており、さらに1割引で約1万7千円だ。
例のごとく硬いが、底の返りが非常に良く、試着してみると意外と思ったほど硬く感じない。値段の安さにつられて即購入。

翌日、早速通勤に着用。すたすた歩いていると・・・げ!!なんじゃこりゃあ!サイドの革がくるぶしを下からガシガシ攻撃してくるではないか!!
帰宅後、他の靴と比べてみると、この靴はサイドの部分が高く作られている。他の靴はくるぶしの周りを避けるように丸くえぐってあるのだが、この靴の場合、ほとんど直線だ。
これって設計ミスではないか。それともわしの足は普通の人より薄いのだろうか。いずれにせよ、またまた思わぬ罠にハマってしまったのであった。

店先では座った状態でしか試着しなかったので、気づかなかった。ちゃんと歩いてみてから買うべきだった・・・。

(つづく)chtwnd.jpg



[PR]