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神曲神之介の江戸日記
「 靴 」
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靴を買うときに常に悩むのがサイズだ。足の長さをメジャーで測って、そのサイズを表示してある靴を買えば必ず合うというわけではない。

同じ長さでも足の幅や厚さによって全然履き心地が違ってくる。足の幅と厚さは「足周」といって、その大きさと足長の比率によってEとかEEとかJIS規格で決まっている(いわゆるウイズ)のだが、これを表示している靴としていない靴がある。スニーカーの場合はほとんど表示していない。革靴の場合は表示しているものが多いが、表示してない場合もある。

ウイズが表示してあったとしても、これもあくまで目安にしかならない。結局、実際に履いてみるしかないのだが、店先ではちょうどよかったのに、実際に履いて歩いたりするときつかったりゆるかったりすることがよくある。これは、足自体が1日の中で大きさが変わるからだ。朝起きた時点が一番小さく、時間が経つにつれて足がむくんできて夜に大きくなる。
「靴は夕方に買うべし」というのはこのような理由からだ。

また、革靴の場合、買って2~3日はちょうどよかったが、履き慣れるにつれてガバガバになることがある。これは表革が伸びることと、ソールの内側が次第に沈み込んでいくためだ。
特にグッドイヤーなどの高級な靴は、かかとにコルクを仕込んであるので、履き慣れた時の沈み込みが大きい。
「試着した時点で少しきついと感じる靴を選ぶべし」というのはこのためだ。かといって、痛いほどきつい靴を選んでしまい、1年履いても解消されなかったなどというのもよく聞く話だ。

このように考えると、理想的にぴったりな靴に出会うなどというのは奇跡に近いことなのだ。
では、幸いにもちょうどぴったりな靴を買えたとして、次回からそのサイズとウイズの靴を買えば問題ないかというとそうでもない。メーカーや靴の形によって、表示と実際の大きさが全然違うことがあるからだ。特にリーガルの場合は、他のメーカーに比べて大きめに作られているので、ワンサイズ下を買うのが原則と言われている。

あとは、個人の好みの問題もある。少しゆるめがよいという人もいれば、地下足袋のようにフィットしてなきゃだめだという人もいる。
職種によっても、デスクワーク中心で大半の時間座っている場合、店員など一日中立ちっぱなしの場合、営業など一日中ガシガシ歩く場合、・・・それぞれ最適なフィッティングは違ってしかるべきだろう。

わしの場合は、デスクワーク中心なので、わざとガバガバな靴を買って、サンダル感覚で履くのが好きだった。あまりピタっとしてると蒸れて気持ち悪いからだ。
だが、ゆるい靴は座っている分にはよいが、歩くとなると非常に歩きにくいし、ズルズル引きずるような歩き方になってしまってみっともない。
わしは人からたまに「足か腰の悪い人の歩き方みたいだ」と言われることがあるのだが、これは靴が原因なのかもしれない。

では、「きつすぎる靴とゆるすぎる靴しかない場合ではどちらを選ぶ」という究極の選択を求められたならどうするか。
個人的には、ゆるい方を選ぶべきだと思う。程度にもよるが、足が痛いほどきつい靴は健康に良くないに決まっている。ひどい場合は足が変形する。
よくいう「少しきつい靴を選べ」というのも、あくまで履き慣れた後にちょうど良くなることを期待しているのであり、決してきついことを推奨しているわけではない。

また、たとえ一時期であっても、その間不快な思いを我慢し続けなければならないというのも、どうも受け入れられない。
極端な理想を言えば、買う時点で心地よい靴を選び、ゆるくなったら寿命と割り切って捨ててしまう。靴は金で買えるが足はそうはいかんのだ。

「ゆるい靴は靴ズレする」というのも実はちょっと違う。靴ズレというのは、靴が新しいうちは底の返り(足の曲げに沿って底がしなること)が悪いことによって起こるのである。
返りが良い場合は、かかとに内底がくっついたまま、かかとと一緒に上がってくれるのだが、底が硬いと足を曲げた時に内底が上がらず、かかとが靴の中で浮き上がる。
この時にかかとの後ろの部分が靴とこすれるため、足がすりむけるのだ。
だから、ゆるい靴よりもむしろぴったりな靴の方が強くこすれるので、靴ズレはひどくなる。

では、とにかくゆるめのを買っておけば、少なくとも痛い思いをすることはないのか。
最初はそう思ってたのだが、革靴はそんなに甘くなかった。革靴経験の少ないわしは、思わぬ罠にハマってしまうのであった。

(つづく)chtwnd.jpg

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これまで、靴は消耗品であり、1年くらいで履き潰すものとしか考えてなかったが、そこそこ良い靴を買うと底が交換できるので、ケアーさえマメにやっていれば、実は電化製品や自動車なんかよりも長持ちする耐久財なんだな。
例えば1万円くらいの靴を1年間で履き潰すと10年で10万円だが、3万円の靴を大事に10年間履けば、その間に底を交換したとしてもずっと安上がりなのだ。

また、同じ靴を毎日履いていると寿命が格段に短くなるらしい。革靴は最低3足は所有し、ローテーションで履く(つまり1日履いたら2日間休ませる)というのが常識だそうだ。

というわけで、もう2~3足セメントじゃない靴を保有してみようかと思い、リーガルのHPを物色。
秋の新作とかいうコーナー見ると、ひときわ目を奪う靴があった。型番は221RBC。ダークブラウンを基調としたサンバースト仕上げ。美しい!!オールドストラトキャスター(ギターに興味ない人ごめん)を連想させるなんとも見事な色合いだ。欲しい!!完全に一目惚れしてしまった。

早速買いに行くことにする。普通の店では置いてない可能性があるので、一番確実だと思われるリーガル直営店へ行ってみた。
予想ははずれて、黒はあったが、茶は在庫がなかった。ここにないのなら他のどこへ行ってもないだろう。仕方ないので、黒のやつを試着。26cmだと長さは問題ないが、甲にかなり圧迫感がある。26.5cmでちょうどよい感じ。購入を決め、茶のやつを取り寄せてもらうことにした。

ついでに雨用に撥水加工しているものを買おうと思い、見せてもらったが、どれもへんなデザインばかりで渋い顔をしていると、「フォルムがきれいなものでしたら、撥水加工はしていませんが、こちらのものが底にGEOXという特殊な素材を使っているので、雨の日でも蒸れませんよ。アッパーは撥水加工してなくても防水スプレーをかければいいですから。」とすすめてくれた。
なるほどロングノーズのウイングチップで形はなかなかきれいだ。試着してみると、革が柔らかいことにびっくり。リーガルでもこんな柔らかいやつがあるんだなあ。
履き心地も良いので、今回はこれを買って帰ることにした。

後で調べてみると、型番はW465というもので、リーガル直営店でしか売っていないものらしい。(だからホームページには載っていない)製法はグッドイヤー、表革は「キップ」という若い牛のものである。
ちなみに子牛の場合は「カーフ」というさらに上等な革になる。つまり若い牛の革ほど柔らかくて上質になり、傷のある確率も低くなる。「カーフ」よりさらに上等とされているのが「コードバン」という馬のケツの革である。コードバンの場合、あまりにもデリケート過ぎてケアが大変らしい。

ところでこのW465、221を試着した時は26.5cmでちょうどよかったのだが、この靴だとなぜかゆるく感じる。逆に26を履いてみるとちょうど良い感じ。同じメーカーでも微妙にサイズが違うのだなあ・・・。とその時は思ったのだが、実はここに大きな落とし穴があることに後になって気付くのである。

翌日、早速通勤に着用。う~ん柔らかい。履き下ろしたその日からこんなに柔らかい革靴は生まれて初めてだ。
しかもこのGEOXというやつ。なかなかの優れものだ。なるほど確かに蒸れない。気持ちいい。
GEOXというのは液体は通さないが気体は通すという新素材のことである。この靴は内装と底の両方にたくさん穴が開いており、両方の穴の間にGEOX素材を挟めているのだ。
だから常に通気しているが、雨が降って路面が濡れても水が染み込んでこないというわけだ。

というわけでこの靴はおすすめである。リーガルショップでしか買えないのが残念だが。

(つづく)chtwnd.jpg



そもそも似たような革靴なのに、どうしてこうも値段の開きがあるのだろうか。気になったので、ネットで色々調べてみた。
まずは自分が買った靴を調べてみると、ケンフォードというリーガルの弟ブランドのものであり、リーガルのページに自分が買ったものも載っていた。

本家リーガルといったいどこが違うのだろう。仕様をよく見比べてみると、ケンフォードはみんな製法が「セメンテッド」となっているのに対してリーガルは「グッドイヤーウエルト」とか「マッケイ」とかいう表示になっている。
「セメンテッド」というのは底を接着剤で貼り付けたもの。「グッドイヤー」や「マッケイ」は縫い付けの方法を示しているらしい。
なるほど。接着剤だと製法が簡単なのでコストが安く上がる。ここで縫い付け方式と1万円の価格差が出るのだな。
ただし、セメントは底の貼り替えができないので、底がすり減ったら捨てるしかない。対してグッドイヤーなどの縫い付け方式は貼り替えによる交換が可能だ。
さらに底がゴム製と革製で1万円くらい違う。あとは表革の質の違いで際限なく上がっていく。革が輸入物となれば関税や輸送コストで当然高くなるし、靴自体が輸入物である場合も当然高くなる。これが革靴価格差のメカニズムだ。

リーガルのページに靴に関する解説が色々載っていたので読んでみた。うーむ。やはり靴は奥が深い!
まず、靴の形やデザインはそれぞれ意味があり、場所によって相応しい物とそうでないものがあるんだな。
例えば、みんな同じように見えていた紐靴でも、よく見ると確かに微妙にデザインが違う物がたくさんある。

(1)内羽根と外羽根
まず、羽根(紐の穴が開いているピラピラした部分)には、根本が固定されている内羽根式とサイドだけが固定されている外羽根式がある。
内羽根は根本が固定されているので、羽根がVの字にしか開かない。必然的に見た目も履き味もタイトで引き締まった感じになる。対して、外羽根はパラレルに開くので、ラフで重厚な感じになる。したがって、内羽根はフォーマル向き、外羽根はカジュアル向きとなるわけだ。
羽根の変わりにベルトがついている「モンク」というタイプと羽根自体がない「ローファー」はさらにカジュアル寄りになる。

(2)縫い目形状によるタイプ分け
次に甲の部分の縫い目の形状の違い。縫い目が一切ないのが「プレーントー」、甲の先に横一直線に縫い目があるのが「ストレートチップ(または「キャップトー」)」、翼のような縫い目が「ウイングチップ」、甲全体にUの字状に縫い目があるのが「Uチップ」、その他、Uの字に曲がらずに平行につま先まで縫い目が走っているのが「スワールトー」とか「流れモカ」というらしい。
縫い目は、プレーンやストレートがフォーマル寄り、その他はカジュアル寄りといった位置付けになる。基本的にシンプルなものほどフォーマル度が高いということなんだな。

(3)ブローグ(装飾)によるタイプ分け
単に縫い目があるものの他に、さらに甲や羽根の縫い目に沿って穴飾りが施してあったり、つま先の部分に模様状の穴飾りを施してあるものがある。これをブローグというらしい。
ストレートチップにブローグしてあるものを「セミブローグ」、ウイングチップにブローグしてあるものを「フルブローグ」と呼ぶんだな。
これは元々は飾りのためではなく、水はけを良くするために考えられたらしい。一見、ツルっとしている方が水が流れやすいように感じやすいが、実は表面が平らだと水滴が融合しあって、表面に留まりやすく、穴を開けて水滴を細かく分断した方が流れやすいんだな。
元々は外で作業する労働者のためのものだったのだが、これを上流階級で飾りとして取り入れて以来、穴の模様を自分のイニシャル状にしたり、次第に飾りを競い合うようになり、現在に至っている。
このような経緯から、基本的にブローグシューズはカジュアル向けなのだが、フォーマルなシチュエーションであってもパーティなど華やかな場であれば全く問題ない。

デザイン上の違いはだいたい以上である。あと、色が黒と茶があるが、フォーマルな服装はモノトーンが基本なので、当然黒の方がフォーマル寄り。というより、茶は服のコーディネートを上手くやらないと変になるので難しいんだな。
黒だと大半の服に合うから無難だが、茶の場合は、ベルトや時計、鞄の色にも気を使わないと変になるので難しい。その反面、カジュアルにも流用しやすいというメリットはある。

ちなみに(そんなことは何も知らないで)自分が買ったのは、キャップトーと呼ばれるブローグなしの内羽根ストレートチップ(黒)だった。

こうして色々調べてみると、さすが古来から靴を文化として暮らしてきて、現在でも家の中まで靴を履いている西洋と長年、土禁・草履で暮らしてきた日本とは靴に対する認識が全く違うんだな。

靴について色々調べているうちに、たまたま、ブレア元首相が、毎週の定例会見で必ず同じ靴を履いていたという記事を発見した。
履いていた靴はチャーチというメーカー(当たり前だが英国製)のフルブローグで、18年間愛用しているということだ。
あまりフォーマル度が高くないフルブローグをわざわざ公式会見の場で毎回履いていたというところがポイントだ。
ブレア首相は労働党の党首なので、労働者起源のフルブローグを履くことが彼のポリシーアピールだったんだな。

紳士靴の元祖である英国人らしいエピソードだと思った。
そしてこのエピソードを知ったことが、やがてわしが靴道にどっぷりハマることになるきっかけとなるのであった。

(つづく)chtwnd.jpg



当初の計画どおり(?)ブログの更新は最初の3日くらいで、あとはずっと放置状態である。日記はつまらんので、何かコラム的なものをと考えたものの、ここしばらくマイブームと呼べるものもなく、今日に至ってしまった。
誰も読んでいないブログとは言え、このまま自然消滅させてしまっては尾張に来た爪痕が何も残せずに終わってしまいそうだ。
そんなわけで最近ちょっとしたマイブームとなっているものができたので、コラム化することにした。革靴の話である。

40年以上生きてきて、これまで靴というものにほとんど関心を持ったことがなかった。
特に革靴に関しては、子供のころから「硬い」という先入観があって、好きじゃなかった。だから大人になってもずっとスニーカー派であった。
さすがに初めて就職した時は1万円くらいの革靴を買ったが、まともな革靴を買ったのはそれっきりで、それ以降は数千円のバーゲン品か合成革の安物でずっと済ましてきた。

ペーペーの時代は別にそれでよかったのだが、窓に背を向けて座る立場になり、会議などに出席する機会がやたら多くなると、いい歳こいてあまりボロボロの靴を履いているのはみっともないので、数十年ぶりにまともな靴を買いに行くことにした。

名古屋ドーム前のイオンの中に、現金で買うと1割引きになるけっこう大きな靴屋があったので、そこで色々物色してみる。
これまでは、脱ぎ履きが楽なローファーが多かったのだが、かっこよくないので、どうせならビシっと引き締まって見える紐靴を買うことにした。
革靴のメーカーではリーガルくらいしか知らなかったので、まずはリーガルのコーナーを見てみる。
昔からリーガルは「ゴツくて硬い!」というイメージを持っていたが、改めて手にとってみるとやはり硬い。しかも一番安いやつでも2万円くらいする。たかだか履き物に2万円を出す気にはならなかったので、別のコーナーの見た目がけっこうかっこよく見えた1万円のやつを買うことにした。

帰り際に他のコーナーを眺めてみると、「別格」と言わんばかりに何やら仰々しく設けられているコーナーがあった。恐らく輸入物のコーナーなのだろう。
で、値札を見ると7万円!!たかだか短靴に7万円?!いったいわしが買った1万円の靴とどこが違うのだろうか・・・。多分、ブランド的な価値なのだろう。世の中にはこんな靴を買う物好きなやつもいるのだなあ・・・。

この時はまだ、いずれ自分もその「物好き」な人間の範疇へ入っていくことになるとは夢にも思わなかったのである。

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