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神曲神之介の江戸日記
尾張名古屋城詰めから再び江戸屋敷詰めを命じられた神曲神之介の雑記帖
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(1)革底靴を履く意味
輸入靴をはじめとする高級靴は大半が革底仕様になっている。最初は、革底なんて存在する意味すらわからなかった。摩耗しやすいのは当たり前だし、いかにも滑りやすそうだ。雨なんか降ってきたら大変なことになる。なんでわざわざこんな靴を買おうとするのだろうか。

日本で靴が履かれるようになったのは明治時代以降だが、西洋では昔から靴を履いていた。昔はゴムなんかなかったので、革底しかなかった。それに日本人よりもはるかに牛を食べるので革自体が豊富にある。また、家の中でも靴を履いているので、木の床とかカーペットの上を歩くことを考えると確かにゴムよりも革がふさわしい。
しかし、雨が多く、家の中では靴を履かない日本人にとって革底なんてどれほどの意味があるのか。
ゴム底に対する革底の最大のメリットとは何か。それは「蒸れない」ことである。

確かにゴム底の靴をずっと履いて仕事をしていると、午後になったあたりでむしょうに脱ぎたくなる。ネットの話を色々読んでみると、革底靴はスニーカーよりもずっと蒸れないらしい。そんなにいいものなのだろうか。
ならば1足くらい革底の靴を持っていてもよかろう。一度試してみようということになった。

(2)スコッチグレイン
革底未経験者であるわしにとって、最大の不安は「滑って転けるのではないか」ということだった。そこで、何か滑り止め加工しているようなやつはないか探してみると、おあつらえ向きのやつが見つかった。
スコッチグレインというメーカーの靴は基本的に革底なのだが、すべて部分的にゴム加工している。特に「アシュランス」という一番安いグレードのやつがど真ん中にベッタリゴムが埋め込んである。これは良さそうだ。値段も3万円を切っているので、革底入門者にとってはちょうどよかろう。

スコッチグレインというメーカーは名前からしていかにもイギリスのメーカーのような印象を受けるが、純粋な国内メーカーである。製法はすべてグッドイヤーであり、デザインは伝統的な英国靴をイメージさせるボテっとしたものが多く、いかにもおっさん受けしそうな靴だ。しかも、最下級グレードでもカーフを使っており、革質は抜群。価格は非常にリーズナブルであり、すべての靴に標準で純正のシューキーパーが付く。

このころわしはすでに、最近巷にあふれるイタリア系のロングノーズの靴にヘキヘキしていた。ロングノーズの靴っていうのは、やせ形で高身長の人が履くとすごくかっこいいのだが、背が低くしかもずんぐりした体型の人が履くと魔法使いみたいになってしまうので、日本人の場合は服のコーディネートをよっぽど上手くやらないと似合わない。対して、長い歴史の中で確立されたトラディッショナルスタイルは流行に左右されないので長く履ける上に、ビジネスやフォーマルなシーンでも安心して履ける。
わしの場合、ブレア首相のエピソードを知って以来、英国派に傾倒しつつあり、特にブレア首相やジェームスボンドが愛用していたチャーチにあこがれを持っていた。
そういう意味では、スコッチグレインはチャーチの質実剛健さを踏襲しており、和製チャーチと呼ぶにふさわしい。まさに紳士の品格を求めるおっさん御用達メーカーなのである。

というわけで、スコッチを買ってみることにしたはいいが、このメーカーは国産でありながら、売っている店はけっこう少ない。しかも、上位クラスのものは直営店にしか置いてない。
直営店は東京と大阪にしかない。名古屋市内となると売っている店は本当に限られてくる。例のドーム前の靴屋は名古屋では一番でかい靴屋なのだが、そこにも置いてない。
色々調べた結果、JR高島屋にあることが判明したので、早速行ってみる。

(3)革底靴の履き味
高島屋の靴売場はけっこう品揃いが豊富で、輸入靴もたくさん置いてあったので、まずはこちらから眺めてみる。やはり高い。5万円からご案内~という感じである。サルバトーレフェラガモの靴があった。10万円。フェラガモといえばセレブ女性御用達の靴として有名だが、紳士靴も作っているのだ。いかにもイタリアという感じの洗練されたデザインで幅が細い。幅広足のわしにはとても履けそうもないし、このころすでにイタリア靴には興味を失っていたので、素通り。

本命のスコッチを求めて国産靴コーナーへ。アシュランスはあるが、やはりオデッサインペリアルといったクラスは置いてなかった。できればフルブローグがほしかったのだが、セミブローグ(型番3520BL)しか置いてなかったので、これを試着してみる。
まずは一番買うことが多い26.5を履いてみる。ゆるい。26を履いてみるとぴったり。全体的に足に触れているという程度で、どこも全く圧迫感がない。少しゆる目かなとも思ったが、店員は「これ以上落とすと明らかにきついし、厚い靴下が履けなくなる」というので、26で購入を決定。

翌日早速デビュー。うーん気持ちいい。確かに蒸れない。蒸れないという意味ではGEOXも同じなのだが、それとは別の、ゴムのような化学合成物じゃないことによる何とも言えない心地よさがある。歩くときの音も耳ざわりが良い。特にこの靴は幅がEEEということもあって履いてて楽だ。途中で脱ぎたいという気持ちにならない。むしろずっと履いていたいと思うくらい気持ちいい。すっかり革底の虜となってしまった。
心配していた滑りについては意外と思っていたほどではない。というより、滑らないような歩き方をすることで自然とスマートできれいな歩き方になる。やはり革底は紳士の靴なのだ。

(4)つま先の摩耗対策
快適な気分でその日の勤務を終え、帰宅後、靴底を見てみると、げげ!!なんじゃこりゃあ!
つま先が異常に摩耗しており、すでに角度がつくくらい削れている。革底が摩耗しやすいことなど最初からわかっていたのだが、たった1日(しかもデスクワークでほとんど歩いていない)でこれほどまで減るものなのか。

またまたネットで情報収集。どうやらグッドイヤーの靴は履き始めは返りが悪いので、特に初日はつま先が減りやすいらしい。そういえば、滑り止め付きの靴を探している中で、つま先だけゴム加工しているタイプのものが圧倒的に多かったのだが、あれは滑り止めのためではなくて摩耗対策のために付いているのだなあ。

つま先の摩耗対策として、靴を買ったらすぐにかかととつま先の部分を両手で持って、グニャっと半分に折り曲げるとよいという記事があった。本当にそんなことして大丈夫なのかと思ったが、靴作りの専門家が書いている記事であり、そもそも靴はそういうふうに曲がるように作られているというのは理にかなっているので、早速試してみる。
曲げた瞬間はアッパーに無惨なシワができるが、すぐにシューキーパーを履かせて一日置いておけば、シワはほとんど跡形もなく消える。特にカーフなどの柔らかい革はしなやかさがあるので、シワの回復力が高い。
なるほど確かに2日目からは、初日ほどつま先は減らなくなった。次からはつま先にゴムが付いているやつを買うことにしよう。

(つづく)chtwnd.jpg

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さて。話はリーガルデビューの話題に戻る。

予定どおり一目惚れの221RBCが納品される。ああ愛しいしとよ。ついに我が手に愛しいしと。
ウキウキ気分で持ち帰り、しばらくの間、部屋に置いて眺める。美しい。ビンテージっぽくムラ染めした茶色が絶妙だ。

翌日、早速デビュー。うーん硬い。W465と同じキップなのに、ガラス加工するとこうも硬くなるものなのか。

ちなみに「ガラス」とは、革をガラスでプレスして表面をツルツルにし、さらに塗装する際に樹脂を混ぜて、エナメルっぽく仕上げた革である。
女子高生などがよく履いているテカテカしたローファーなどは典型的なガラスである。
ガラスのメリットは、皮に元々付いていた傷を隠せること、雨や汚れに強いこと、新しいうちはワックスをかけなくてもツヤツヤしていること、メンテナンスが楽なことなどがある。
デメリットは、革の本来の質感がないことなどがあるが、最大のネックは硬いことだ。しかも保革材が染み込みにくいので、ミンクオイルなどで柔らかくしにくい。
リーガルが硬い靴が多いのは、ガラス加工の靴が多いためである。

まあ、ガラスと言ってもキップなので、足が曲がらないほど硬いというわけではない。そのうち馴染んできたら柔らかくなるだろう。
・・・と、多少硬いことなどは気にせず、愛しきしとともに務めに励む。
ところが、夕方になると妙に親指の付け根が痛い。見ると、親指の部分に偏って、太めのシワが幾重にも重なってできていて、足を曲げる度にそれが親指の根本に刺さり込んでいるのだ。な、なんじゃこりゃあ!

帰って、ネットで同じような事例がないかどうか検索してみた。どうやら、これは硬くてゆるい靴を履いた時に起こる特有の現象らしい。
幅広の靴の場合はそうでもないのだが、幅がタイトな場合、ゆるいことでダブついたシワが分散されず、足を曲げた時に親指のところに偏って集まり、それが足を圧迫するのだ。

ゆるいのに痛い。こんなケースがあるとは、全く持って不覚であった。
では、今まで散々ユル靴を履いてきたのに、なぜこのような自体が起こらなかったのか。

まず、合成革のフニャフニャ靴が多かったので、シワができてもシワ自体が柔らかく、足をそれほど圧迫しなかったこと、硬くても幅がタイトな靴を選択することはなかったことが考えられる。

今回はシワという思わぬ伏兵にやられてしまったわけだが、靴のシワは色々な意味でクセ者なので、注意が必要だ。
靴を履いた後、何もせずにほったらかしにしておくと、履きジワがそのままの状態で固定化されてしまい。甲に餃子のようなモコモコしたシワが形成されてしまう。
足に悪さをしないとしても、これはかっこわるい。
また、シワの間には汚れや古いワックスなどが溜まりやすく、ひび割れの原因になったりもする。

このように革靴にとって、履きジワというやつは非常にやっかいなものなのだが、これを簡単に解消する方法がある。
それはシューキーパー(またはシュートリーともいう)というものを買って、履いた後の靴の中につっこんでおく。
こうするだけで、シワは元どおりになり、しかも靴全体の型くずれを防ぐ効果もある。
さらに木製のもの(高いけど)を使えば除湿効果もある。

シューキーパーは100円ショップで売ってる数百円のものから1万円以上するものまでピンキリであるが、できれば木製で先が割れていて靴の形に応じて調整できるタイプ(こういうやつ)のものが良い。安いものでは2千円くらいで手に入る。バカみたいに高いものを買う必要はないが、多少はいいものを買った方がその分靴の寿命が長くなるので、かえって経済的だ。

さて。ケンフォードを皮切りにリーガル2足と、合計3足揃い、最低限のローテーションを組むラインアップができた。
しかし3足とも内羽根だ。さらに1足くらい外羽根がほしいところである。リーガルの定番といえばやはり外羽根ウイングチップのアメリカントラッド。
リーガルショップは割引がないので、名古屋ドーム前の例の店に行ってみることにした。定番ならば普通の靴屋でもあるだろう。

あったあった。外羽根で先が丸く、いかにもゴツい感じの典型的なリーガル靴だ。型番はJU14。ガラスだが、定価で2万円を切っており、さらに1割引で約1万7千円だ。
例のごとく硬いが、底の返りが非常に良く、試着してみると意外と思ったほど硬く感じない。値段の安さにつられて即購入。

翌日、早速通勤に着用。すたすた歩いていると・・・げ!!なんじゃこりゃあ!サイドの革がくるぶしを下からガシガシ攻撃してくるではないか!!
帰宅後、他の靴と比べてみると、この靴はサイドの部分が高く作られている。他の靴はくるぶしの周りを避けるように丸くえぐってあるのだが、この靴の場合、ほとんど直線だ。
これって設計ミスではないか。それともわしの足は普通の人より薄いのだろうか。いずれにせよ、またまた思わぬ罠にハマってしまったのであった。

店先では座った状態でしか試着しなかったので、気づかなかった。ちゃんと歩いてみてから買うべきだった・・・。

(つづく)chtwnd.jpg



靴を買うときに常に悩むのがサイズだ。足の長さをメジャーで測って、そのサイズを表示してある靴を買えば必ず合うというわけではない。

同じ長さでも足の幅や厚さによって全然履き心地が違ってくる。足の幅と厚さは「足周」といって、その大きさと足長の比率によってEとかEEとかJIS規格で決まっている(いわゆるウイズ)のだが、これを表示している靴としていない靴がある。スニーカーの場合はほとんど表示していない。革靴の場合は表示しているものが多いが、表示してない場合もある。

ウイズが表示してあったとしても、これもあくまで目安にしかならない。結局、実際に履いてみるしかないのだが、店先ではちょうどよかったのに、実際に履いて歩いたりするときつかったりゆるかったりすることがよくある。これは、足自体が1日の中で大きさが変わるからだ。朝起きた時点が一番小さく、時間が経つにつれて足がむくんできて夜に大きくなる。
「靴は夕方に買うべし」というのはこのような理由からだ。

また、革靴の場合、買って2~3日はちょうどよかったが、履き慣れるにつれてガバガバになることがある。これは表革が伸びることと、ソールの内側が次第に沈み込んでいくためだ。
特にグッドイヤーなどの高級な靴は、かかとにコルクを仕込んであるので、履き慣れた時の沈み込みが大きい。
「試着した時点で少しきついと感じる靴を選ぶべし」というのはこのためだ。かといって、痛いほどきつい靴を選んでしまい、1年履いても解消されなかったなどというのもよく聞く話だ。

このように考えると、理想的にぴったりな靴に出会うなどというのは奇跡に近いことなのだ。
では、幸いにもちょうどぴったりな靴を買えたとして、次回からそのサイズとウイズの靴を買えば問題ないかというとそうでもない。メーカーや靴の形によって、表示と実際の大きさが全然違うことがあるからだ。特にリーガルの場合は、他のメーカーに比べて大きめに作られているので、ワンサイズ下を買うのが原則と言われている。

あとは、個人の好みの問題もある。少しゆるめがよいという人もいれば、地下足袋のようにフィットしてなきゃだめだという人もいる。
職種によっても、デスクワーク中心で大半の時間座っている場合、店員など一日中立ちっぱなしの場合、営業など一日中ガシガシ歩く場合、・・・それぞれ最適なフィッティングは違ってしかるべきだろう。

わしの場合は、デスクワーク中心なので、わざとガバガバな靴を買って、サンダル感覚で履くのが好きだった。あまりピタっとしてると蒸れて気持ち悪いからだ。
だが、ゆるい靴は座っている分にはよいが、歩くとなると非常に歩きにくいし、ズルズル引きずるような歩き方になってしまってみっともない。
わしは人からたまに「足か腰の悪い人の歩き方みたいだ」と言われることがあるのだが、これは靴が原因なのかもしれない。

では、「きつすぎる靴とゆるすぎる靴しかない場合ではどちらを選ぶ」という究極の選択を求められたならどうするか。
個人的には、ゆるい方を選ぶべきだと思う。程度にもよるが、足が痛いほどきつい靴は健康に良くないに決まっている。ひどい場合は足が変形する。
よくいう「少しきつい靴を選べ」というのも、あくまで履き慣れた後にちょうど良くなることを期待しているのであり、決してきついことを推奨しているわけではない。

また、たとえ一時期であっても、その間不快な思いを我慢し続けなければならないというのも、どうも受け入れられない。
極端な理想を言えば、買う時点で心地よい靴を選び、ゆるくなったら寿命と割り切って捨ててしまう。靴は金で買えるが足はそうはいかんのだ。

「ゆるい靴は靴ズレする」というのも実はちょっと違う。靴ズレというのは、靴が新しいうちは底の返り(足の曲げに沿って底がしなること)が悪いことによって起こるのである。
返りが良い場合は、かかとに内底がくっついたまま、かかとと一緒に上がってくれるのだが、底が硬いと足を曲げた時に内底が上がらず、かかとが靴の中で浮き上がる。
この時にかかとの後ろの部分が靴とこすれるため、足がすりむけるのだ。
だから、ゆるい靴よりもむしろぴったりな靴の方が強くこすれるので、靴ズレはひどくなる。

では、とにかくゆるめのを買っておけば、少なくとも痛い思いをすることはないのか。
最初はそう思ってたのだが、革靴はそんなに甘くなかった。革靴経験の少ないわしは、思わぬ罠にハマってしまうのであった。

(つづく)chtwnd.jpg



これまで、靴は消耗品であり、1年くらいで履き潰すものとしか考えてなかったが、そこそこ良い靴を買うと底が交換できるので、ケアーさえマメにやっていれば、実は電化製品や自動車なんかよりも長持ちする耐久財なんだな。
例えば1万円くらいの靴を1年間で履き潰すと10年で10万円だが、3万円の靴を大事に10年間履けば、その間に底を交換したとしてもずっと安上がりなのだ。

また、同じ靴を毎日履いていると寿命が格段に短くなるらしい。革靴は最低3足は所有し、ローテーションで履く(つまり1日履いたら2日間休ませる)というのが常識だそうだ。

というわけで、もう2~3足セメントじゃない靴を保有してみようかと思い、リーガルのHPを物色。
秋の新作とかいうコーナー見ると、ひときわ目を奪う靴があった。型番は221RBC。ダークブラウンを基調としたサンバースト仕上げ。美しい!!オールドストラトキャスター(ギターに興味ない人ごめん)を連想させるなんとも見事な色合いだ。欲しい!!完全に一目惚れしてしまった。

早速買いに行くことにする。普通の店では置いてない可能性があるので、一番確実だと思われるリーガル直営店へ行ってみた。
予想ははずれて、黒はあったが、茶は在庫がなかった。ここにないのなら他のどこへ行ってもないだろう。仕方ないので、黒のやつを試着。26cmだと長さは問題ないが、甲にかなり圧迫感がある。26.5cmでちょうどよい感じ。購入を決め、茶のやつを取り寄せてもらうことにした。

ついでに雨用に撥水加工しているものを買おうと思い、見せてもらったが、どれもへんなデザインばかりで渋い顔をしていると、「フォルムがきれいなものでしたら、撥水加工はしていませんが、こちらのものが底にGEOXという特殊な素材を使っているので、雨の日でも蒸れませんよ。アッパーは撥水加工してなくても防水スプレーをかければいいですから。」とすすめてくれた。
なるほどロングノーズのウイングチップで形はなかなかきれいだ。試着してみると、革が柔らかいことにびっくり。リーガルでもこんな柔らかいやつがあるんだなあ。
履き心地も良いので、今回はこれを買って帰ることにした。

後で調べてみると、型番はW465というもので、リーガル直営店でしか売っていないものらしい。(だからホームページには載っていない)製法はグッドイヤー、表革は「キップ」という若い牛のものである。
ちなみに子牛の場合は「カーフ」というさらに上等な革になる。つまり若い牛の革ほど柔らかくて上質になり、傷のある確率も低くなる。「カーフ」よりさらに上等とされているのが「コードバン」という馬のケツの革である。コードバンの場合、あまりにもデリケート過ぎてケアが大変らしい。

ところでこのW465、221を試着した時は26.5cmでちょうどよかったのだが、この靴だとなぜかゆるく感じる。逆に26を履いてみるとちょうど良い感じ。同じメーカーでも微妙にサイズが違うのだなあ・・・。とその時は思ったのだが、実はここに大きな落とし穴があることに後になって気付くのである。

翌日、早速通勤に着用。う~ん柔らかい。履き下ろしたその日からこんなに柔らかい革靴は生まれて初めてだ。
しかもこのGEOXというやつ。なかなかの優れものだ。なるほど確かに蒸れない。気持ちいい。
GEOXというのは液体は通さないが気体は通すという新素材のことである。この靴は内装と底の両方にたくさん穴が開いており、両方の穴の間にGEOX素材を挟めているのだ。
だから常に通気しているが、雨が降って路面が濡れても水が染み込んでこないというわけだ。

というわけでこの靴はおすすめである。リーガルショップでしか買えないのが残念だが。

(つづく)chtwnd.jpg



そもそも似たような革靴なのに、どうしてこうも値段の開きがあるのだろうか。気になったので、ネットで色々調べてみた。
まずは自分が買った靴を調べてみると、ケンフォードというリーガルの弟ブランドのものであり、リーガルのページに自分が買ったものも載っていた。

本家リーガルといったいどこが違うのだろう。仕様をよく見比べてみると、ケンフォードはみんな製法が「セメンテッド」となっているのに対してリーガルは「グッドイヤーウエルト」とか「マッケイ」とかいう表示になっている。
「セメンテッド」というのは底を接着剤で貼り付けたもの。「グッドイヤー」や「マッケイ」は縫い付けの方法を示しているらしい。
なるほど。接着剤だと製法が簡単なのでコストが安く上がる。ここで縫い付け方式と1万円の価格差が出るのだな。
ただし、セメントは底の貼り替えができないので、底がすり減ったら捨てるしかない。対してグッドイヤーなどの縫い付け方式は貼り替えによる交換が可能だ。
さらに底がゴム製と革製で1万円くらい違う。あとは表革の質の違いで際限なく上がっていく。革が輸入物となれば関税や輸送コストで当然高くなるし、靴自体が輸入物である場合も当然高くなる。これが革靴価格差のメカニズムだ。

リーガルのページに靴に関する解説が色々載っていたので読んでみた。うーむ。やはり靴は奥が深い!
まず、靴の形やデザインはそれぞれ意味があり、場所によって相応しい物とそうでないものがあるんだな。
例えば、みんな同じように見えていた紐靴でも、よく見ると確かに微妙にデザインが違う物がたくさんある。

(1)内羽根と外羽根
まず、羽根(紐の穴が開いているピラピラした部分)には、根本が固定されている内羽根式とサイドだけが固定されている外羽根式がある。
内羽根は根本が固定されているので、羽根がVの字にしか開かない。必然的に見た目も履き味もタイトで引き締まった感じになる。対して、外羽根はパラレルに開くので、ラフで重厚な感じになる。したがって、内羽根はフォーマル向き、外羽根はカジュアル向きとなるわけだ。
羽根の変わりにベルトがついている「モンク」というタイプと羽根自体がない「ローファー」はさらにカジュアル寄りになる。

(2)縫い目形状によるタイプ分け
次に甲の部分の縫い目の形状の違い。縫い目が一切ないのが「プレーントー」、甲の先に横一直線に縫い目があるのが「ストレートチップ(または「キャップトー」)」、翼のような縫い目が「ウイングチップ」、甲全体にUの字状に縫い目があるのが「Uチップ」、その他、Uの字に曲がらずに平行につま先まで縫い目が走っているのが「スワールトー」とか「流れモカ」というらしい。
縫い目は、プレーンやストレートがフォーマル寄り、その他はカジュアル寄りといった位置付けになる。基本的にシンプルなものほどフォーマル度が高いということなんだな。

(3)ブローグ(装飾)によるタイプ分け
単に縫い目があるものの他に、さらに甲や羽根の縫い目に沿って穴飾りが施してあったり、つま先の部分に模様状の穴飾りを施してあるものがある。これをブローグというらしい。
ストレートチップにブローグしてあるものを「セミブローグ」、ウイングチップにブローグしてあるものを「フルブローグ」と呼ぶんだな。
これは元々は飾りのためではなく、水はけを良くするために考えられたらしい。一見、ツルっとしている方が水が流れやすいように感じやすいが、実は表面が平らだと水滴が融合しあって、表面に留まりやすく、穴を開けて水滴を細かく分断した方が流れやすいんだな。
元々は外で作業する労働者のためのものだったのだが、これを上流階級で飾りとして取り入れて以来、穴の模様を自分のイニシャル状にしたり、次第に飾りを競い合うようになり、現在に至っている。
このような経緯から、基本的にブローグシューズはカジュアル向けなのだが、フォーマルなシチュエーションであってもパーティなど華やかな場であれば全く問題ない。

デザイン上の違いはだいたい以上である。あと、色が黒と茶があるが、フォーマルな服装はモノトーンが基本なので、当然黒の方がフォーマル寄り。というより、茶は服のコーディネートを上手くやらないと変になるので難しいんだな。
黒だと大半の服に合うから無難だが、茶の場合は、ベルトや時計、鞄の色にも気を使わないと変になるので難しい。その反面、カジュアルにも流用しやすいというメリットはある。

ちなみに(そんなことは何も知らないで)自分が買ったのは、キャップトーと呼ばれるブローグなしの内羽根ストレートチップ(黒)だった。

こうして色々調べてみると、さすが古来から靴を文化として暮らしてきて、現在でも家の中まで靴を履いている西洋と長年、土禁・草履で暮らしてきた日本とは靴に対する認識が全く違うんだな。

靴について色々調べているうちに、たまたま、ブレア元首相が、毎週の定例会見で必ず同じ靴を履いていたという記事を発見した。
履いていた靴はチャーチというメーカー(当たり前だが英国製)のフルブローグで、18年間愛用しているということだ。
あまりフォーマル度が高くないフルブローグをわざわざ公式会見の場で毎回履いていたというところがポイントだ。
ブレア首相は労働党の党首なので、労働者起源のフルブローグを履くことが彼のポリシーアピールだったんだな。

紳士靴の元祖である英国人らしいエピソードだと思った。
そしてこのエピソードを知ったことが、やがてわしが靴道にどっぷりハマることになるきっかけとなるのであった。

(つづく)chtwnd.jpg



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